サクラ草について

 日本さくらそうは、江戸時代寛文年間(1661〜1672年)から栽培が始められ、 元禄、享保、文化文政を経て、文化の発達に伴って、益々その数を増すに至った。
 純日本産の古典園芸植物です。  その清楚、可憐、優雅な風姿は、われわれ日本人の国民性にピッタリの草花と云えましょう。  「わが国は草も桜を咲きにけり」という一茶の名句にもある通り、この花にとってまことにふさわしい名称です。  関東の浮間ヶ原や戸田ヶ原のほとりに数多く自生していたものを、江戸の文化墨客は盛んにでかけ、 また荒川のほとり、鷹を追う江戸武士などが野外散策の折、家づとに持ち帰り鉢植えとして観賞され将軍に献じることによって、 その名を高めたと云い伝えられております。
 好事家の間で次々と品種改良がなされ、 幾多の盛衰をかさねこの江戸文化の粋を誇る“日本さくらそう”が今なお愛培され、 その関心がますます昂まってまいりました。  当高鴨神社には、現存している殆んどの品種約五百余種(二千数百鉢)が保存栽培され、 高鴨神社のさくら草は、昭和三十五年に、宮司が京都の自邸より持ち運んで今日に至っています。  ちなみに、このさくらそうは、明治末期より父子二代に亘って蒐集愛培してきたものです。

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